美術鑑賞をするにはやはり基礎知識がいるなあ、なんてことを考えていたら、ちょうど本屋でこんな本を見つけた。
古代からの西洋美術の流れと作品紹介や用語解説が、ポップなレイアウトで分かりやすく面白く書かれていて、眺めるだけで楽しい。何ページかめくってみて、こりゃすごいと思った。辞書みたいに、年代ごとのナビゲーションが脇に付いているのも秀逸。しかもこれだけの情報量で2000円程度というのは安い。
まさにこういう本が欲しかったんだよ!ということで即購入した。
古代ギリシア・ローマ美術→初期キリスト教/ビザンティン美術→初期中世美術→ロマネスク美術→ゴシック美術→ルネサンス、あたりの流れが特に面白かった。西洋美術がいかにキリスト教と関わって発展してきたかがよく分かるし、キリスト教普及以前のギリシア・ローマ美術やそれを復興させたルネサンスがキリスト教的な禁欲思想とは異なるものだということもまたよく分かった。
ちなみに西洋史を専攻していた学生時代、フランス中世史の授業でゴシック建築がどうして出てきたかを習ったことがある。そのときは歴史学的な観点からしか教わらなかったけど、この本では(当然だが)美術的な観点から解説されているので、10年以上経て情報を補完できたというか理解が深まったような感じがした。面白い。
それにしても、この本を作った人はすごい。どうせなら同じシリーズで日本美術史もあればいいのに。仏像とか建築とか。出版社は、デザイン系書籍でおなじみ視覚デザイン研究所なんだけど、要望を出したら日本美術史も作ってくれるかな?